(1)ドコモの海外投資失敗
ドコモ海外投資の失敗についてまとめましたが、ドコモの海外投資に対して、NTT持ち株会社が消極的なようです。ドコモは海外投資をNTT持ち株会社の反対にあったため、国内投資に積極的なようですが、ソフトバンク ドコモ投資戦略の比較(11)を見てみましょう。(2)移動体通信分野以外への投資
国内6千万人の顧客基盤をもとにどう稼ぐか。有機野菜通販のらでぃっしゅぼーやの買収、角川書店と共同出資のアニメ配信会社の設立、音楽CD販売のタワーレコードの子会社化。ドコモはサービス分野に相次ぎ投資してきた。ドコモは、移動体通信分野3社の中で圧倒的なトップ企業ですが、6000万人の顧客基盤という数字は、日本人の人口が1億2000万人と単純に考えるとシェア50%を超えていますね。
- 買収子会社化 らでぃっしゅぼーや
- 買収子会社化 タワーレコード
- 共同出資会社の設立 角川書店と共同出資のアニメ配信会社
ドコモ買収と投資の業績まとめを見ると、ドコモの投資戦略は通信分野と関連性が薄いうえに、収益に貢献していないことが分かりますね。ドコモが、これらの出資先から、利益をあげることができなければ、配当や自社株買いを行うべきであると株主からの指摘もでそうですね。
(3)ドコモのゲーム配信とビジネスモデル再構築
「あなた方の事業を邪魔するつもりはありません」。加藤はソーシャルゲーム大手、DeNA社長の守安功(39)に電話した。ドコモはゲーム配信への進出も決断。モバイル端末を通じて多様なサービスを提供し稼ぐモデルの構築を急ぐ。ドコモはゲーム配信進出しており、一見すると、本業の移動体通信分野から離れているように見えますね。ドコモの投資戦略は、多様なサービスで利益を得るビジネスモデルが目的のようです。
ドコモの投資戦略の前提は、移動体通信事業の顧客維持が前提と思いますが、顧客獲得に苦戦しているのが現状です。ドコモ販売台数増加の理由を見ると、新機種が発売した時に、一時盛り返しを見せましたが、ソフトバンクやauよりも顧客獲得に苦戦しているのが現状です。
ドコモの利益水準が低迷しているのは、移動体通信以外への投資が、それほど成功していないと指摘されても仕方がないのかもしれないですね。
(4)ドコモ優位性である通信品質が揺らぐ
ドコモの優位性は「通信品質の高さ」(ドコモ幹部)。だが、ソフトバンクも通信網の充実で追い上げを図る。ドコモは、国内の移動体通信事業のトップ企業であり、繋がりやすく通信品質の高いことが認識されてきました。
ドコモの通話品質は、スマホによる通信量の増加に耐え切れず、不調や電波障害が発生することもありました。次世代の通信規格であるLTEでは、ドコモLTE遅いという海外の調査結果もあり、ドコモの巻き返しが期待されます。
(5)ソフトバンクが通信品質を重視
「スプリントとの共同調達でコストが下がり、国内通信網の整備も進む」。ソフトバンク社長の孫正義(55)は強調する。「買収より、つながりにくい通信網の改善を優先すべきだ」との声が顧客に広がっているからだ。
ソフトバンクは12~13年度の設備投資を約2割上積みして基地局の増設を急ぐ。イー・アクセスとの電波の相互利用も通信品質の向上に効果を発揮する可能性が高い。ドコモの競合企業であるソフトバンクは、通信品質がドコモに劣ると言われ続けてきましたが、通信品質の向上を経営課題に掲げています。
(6)ドコモはビジネスモデルを再構築できるのか
海外戦略に足かせをはめられたドコモ。ソフトバンクの通信網が充実してくればアドバンテージはますます狭まる。ドコモが通信品質以外に、顧客にどういったサービスを提供するのか、国内市場の限界が見える中でどのようにして企業として成長していくのでしょうか。ドコモのビジネスモデルと投資戦略の前提は、顧客基盤が前提となっていることは、重要なポイントになりますね。
ドコモ スマートフォン販売とコンテンツ(2)を見ると、ドコモが開放戦略を採用することでビジネスモデルの変化を模索していることが分かりますね。ドコモは日本を代表する企業ですが携帯電話のシェアが低下する一方で、ソフトバンクやauが市場シェアを伸ばしており、以前よりも経営に余裕がなくなっていると言えますね。 スポンサードリンク