(1)ソフトバンクのスプリント買収
ドコモの海外投資の失敗について、ドコモ海外買収とソフトバンク大株主の違い(10)を見ると、ドコモが海外投資に消極的であった背景が分かると思います。ソフトバンクの米スプリント・ネクステル買収が明らかになった10月12日。自民党の情報通信の関係議員が総務省の幹部を呼び出した。
「ソフトバンクが海外に進出するのをNTTドコモは指をくわえてみているのか」ソフトバンクのスプリント買収に対して、ドコモは何か海外投資戦略がないのか、自民党の議員が総務省の幹部に問いかけていますね。ドコモの大株主は、NTT持ち株会社ですが、筆頭株主は国です。
ドコモについて、総務省が自民党議員から質問されているのは、通信行政の監督官庁が総務省だからと思います。ドコモはNTTブランドを生かして高いシェアを保有しているうえに、NTTのグループ会社ですのでNTTの大株主である国の関与を受けやすいと言えますね。
(2)ドコモ海外投資失敗で1兆円の損失
ドコモは2000年前後に米AT&Tワイヤレスなどに計2兆円を出資し、1兆円以上の損失を出し撤退した。NTTグループ首脳陣には今なお強烈なトラウマとなっている。ドコモが海外投資失敗で1兆円の損失をだしていますが、投資を行った2000年前後は、ITバブルで株価が最も高いときではないでしょうか。ドコモは、海外投資によりi-modeを海外普及させる構想を抱いていたようですが、完全に失敗していますね。
(3)ドコモの海外投資計画と出資先の赤字
今春、ドコモ社長だった山田隆持(64)は海外への再挑戦を計画していた。オーストラリアの大手携帯電話会社への出資だ。しかし26%出資するインドのタタ・テレサービシズは赤字続き。ドコモは海外投資で1兆円の投資損失を計上しましたが、2012年春に、海外投資の計画を立てていたようですね。ドコモが海外投資している会社は、必ずしも経営が順調ではなく、海外投資計画はなくなってしまったようです。
ドコモ買収と投資の業績まとめを見ると、海外投資に失敗してから、買収や出資案件は小型化していることが分かります。ドコモは海外投資の失敗でリスク回避の経営を継続していますので、ドコモとソフトバンクで会社の成長速度に大きな差がでている理由が分かりますね。
(4)NTT持ち株会社首脳がドコモの投資計画に反対
これを失敗とみなすNTT持ち株会社首脳から待ったがかかった。「海外の通信会社にカネを出す時代じゃない」ドコモの投資計画に対して、NTT持ち株会社首脳がドコモの投資計画に反対したようですね。NTT持ち株会社とドコモの関係について簡単に整理したいと思います。
- ドコモ 東証一部上場企業
- NTT持ち株会社はドコモの筆頭株主 出資比率約66%の筆頭株主
- NTT持ち株会社の利益は、ドコモの利益が大半を占める
- ドコモの筆頭株主、NTT持ち株会社はドコモの経営安定が重要
ドコモとNTT持ち株会社の関係性を見ると、ドコモの海外投資に、NTT持ち株会社が反対する理由が分かるのではないでしょうか。
(5)ドコモとソフトバンクの幹部の違い
「日本の顧客へのサービスを第一に考える」。10月26日の決算発表でドコモ現社長の加藤薫(61)は平静を装った。「週末は働かない」と公言する加藤。しかしソフトバンクがイー・アクセス買収を決めると週末に主だった幹部を集めて都内で合宿した。「我々はサービス企業への進化を目指す」ドコモとソフトバンクの幹部の違いを見てみましょう。
- ドコモ加藤社長は週末は働かないと公言
- ソフトバンクは、買収が決まると週末に幹部が集まって合宿